文学界の法王

世界は金融危機で揺れている、というのに・・・

もう一つちょっと変わったスキャンダルがドイツ中を湧かせて(?)います。

マルセル・ライヒ・ラニツキ(Marcel Reich-Ranicki)という
88歳の文芸評論家がテレビ栄誉賞を拒否したという事件です。

授賞式に招待されて、そこで何時間も授賞の瞬間を待っている間に
あったいろいろなショーのくだらなさに呆れたのが理由だそうです。

あんなくだらない物ばかりを見せるテレビの賞など貰えるか!
と壇上で言い放って、テレビ放送の質を公に問い正したというわけです。

冗談か?と思った人、
また、血迷ったか?とあっけに取られる人
そして、よくぞ言った、という声もあり、
場を白けさせた、と批判する声もあり・・・

You tube で録画を見つけました:
http://www.youtube.com/watch?v=H79p1d5iOd4

これに関しては、あらためて
司会のゴットシャルク氏(ドイツで最も人気のあるショーマイスター)
とラニツキ氏との間の対談が放送されました。

ゴットシャルク氏:
「格調高いものばかりを見せているだけでは、視聴率を獲得できない。
娯楽の部分がなくては・・・」

ラニツキ氏:、
「娯楽の方法を最もよく知っていたのは、シェークスピア、シラー、ブレヒト・・・」

このなんか噛み合わない対談にはちょっとビックリ。

くだらない番組があるのは確かだと思います。

が、ラニツキ氏が「文学界の法王」として一般の人にまで有名になったのは、
多分にテレビで文芸評論の番組に出演していたからだったわけですし・・・
つまり、氏自身、テレビの恩恵も十分受けてきたわけなのですよね。

批判の気持ちを表す方法は他にもあったはず。
いやあ、これは単に88歳のお年寄りを長時間待たせたのが原因だったかも?
残念ながら、寄る年波には勝てない、ということでしょうか。

こういうこと、本当は言いたくないんですけどね。
[PR]
by mamapanda_mimi | 2008-10-25 15:59 | 社会 | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : http://mamapandam.exblog.jp/tb/8820539
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by yoshikazunet at 2008-10-25 16:32
そっかー、88歳かあ~。待っている間ずっとイライラしてたんでしょうね。事前に打ち合わせができていればよかったのかしらね。
私の父も、扱いにくいし・・・・・わからなくもない・・・でも・・・
大人げない気よね。
Commented by mamapanda_mimi at 2008-10-25 18:26
一応ご紹介しておきますが・・・
ラニツキ氏はユダヤ系ドイツ・ポーランド人の家庭に育ち、ご両親はナチの迫害を受け強制収容所のガス室で亡くなっています。壮絶な人生を送ってきた方です。また、ドイツ文学界において非常に大きい影響力を持つ評論家です。その方の発言を私などが単に「お年寄りの戯言」みたいに言って片付けてしまうのは無礼なのかもしれません。しかし、「法王」も人間という解釈もありますよね。
Commented by Momoko at 2008-10-26 01:04 x
ラニツキ氏は「文学カルテット」という書評番組で名をはせた方ですよね。ちょうど先週、ルート・クリューガー Ruth Klueger というユダヤ人女性(少女時代にテレジン、アウシュヴィッツなどの強制収容所を生き抜いた作家・ドイツ文学者)の自伝 "unterwegs verloren" を読み終えて、レジュメを書いたところです。
この伝記に、ラニツキ氏が出てきました。『ある批評家の死』というドイツ人作家マルティン・ヴァルザーの小説をめぐって著者クリューガーが痛烈なヴァルザー批判をするのですが、この小説のモデルになっている「ある批評家」が、ラニツキ氏なんですね。
ここで描かれている「批評家」というのが、いかにもというようなステレオタイプのユダヤ人なので、クリューガーが噛みついたのです。

ところで、さっきYouTubeの画像を見ましたが、ラニツキ氏も最後はロストロポーヴィチとカラヤンのエピソードを持ち出してきて、会衆総立ちで拍手みたいな感激的な盛り上がりになり、すごくうまく締めていますよね。やはりTVの効果を知り尽くした人なんじゃないかな、と思いました。
Commented by mamapanda_mimi at 2008-10-26 06:14
そうそう、全体としてあのような形でTV批判をしたことは不評だったのにもかかわらず、あのスタンディングオーベーションは何で?という声が確かにありました。

可笑しいのは、氏の批判の言葉を宣伝文句に使おうとしている企業があるんですって。例えば、(氏が壇上で褒めたテレビ局)arteは「ZDF(授賞式を放送した公共放送局)のようなくだらない番組は放送しません」とかなんとか・・・。
Commented by espresso at 2008-10-27 00:31 x
ラニツキ氏の画像見ました。やはり彼としてはおとなしく賞を受け取るのでは物足りない。ユダヤ人としても誇りもあるし、普段くだらないテレビ番組に対して言いたいこともあったのでは。。。素直にありがとうと言うようなタイプではなさそう。
あの発言によって、彼は評論家としてのエンターテーナー性を示せたし、彼を良く知らない人にアピールもできた。最後の言葉も用意していたかのよう。。。。
ドイツの中のユダヤ人の立場は何だかとても特異なものに見えます。ミュンヘンにあるユダヤ博物館の建物は、最近新しく立て直したそうで、外観は嘆きの壁を思わせるし、ドイツの中にいながら、ドイツを拒否しているようにも見えます。彼ら独特のしたたかさと言うか、執拗さ、あくの強さを感じます。日本人とは対極にいるように感じます。
Commented by mamapanda at 2008-10-27 05:22 x
氏の出演で人気のあったTV番組「文学カルテット」を見ていた読書家の義母に言わせると、なかなか説得力のある文学評論を述べていたそうです。が、ある時、氏が薦めていた本を買って読んでみたら、全然気に入らなかったことがあり、やはり人それぞれ好みは違うものだと痛感した、と言っていました。

それに、氏はノーベル文学賞を受賞した作家の本でも「私が読んでいない本などいいわけがない」といった独断的な事を述べることもあるそうですよ。アロガントな面があることは確かみたいね。

ところで、こんなところでこの話題、すっかり盛り上がっちゃいましたね(笑)。