日本ではまだ公開されていないかもしれませんが、映画「オッペンハイマー」を見ました。
ドイツでは通常、映画館で見る外国映画はドイツ語の吹き替えで上映しています。
しかし、夫と娘のたっての希望で英語のオリジナル版をやっているところを探し、わざわざ、ここから車で約1時間ちょっとかかるSuttgartへ行って見てきました。
私の英語理解力はドイツ語より劣るので、分かるかどうか不安でしたが、「不幸中の幸い
」というか、ドイツ語の字幕付きだったので、私も何とかついていけました。
英語力に何の問題もない夫と娘も映画の中でたくさん出てくる人物名に苦労していた模様なので、字幕は役に立ったのではないかな
前置きはともかく、映画を見終わった私の感想は、この映画は明らかに反戦映画だ、ということ。
ただただ「戦争はもうたくさんだ!」と思いました。
これだけでもこの映画は成功作だと思います。
広島と長崎に原爆を落としたことをアメリカ側が「ああしなければ日本は戦争を終わらせなかった」と正当化する考えを強調している、また、広島と長崎の悲劇の場面がないといった批判があるようですが、前者のアメリカの主張については私も以前から知っていたことですし、また、後者の批判は、この映画が物理学者オッペンハイマーの人生に焦点を当てているものであることから、私は不思議に思いませんでした。
むしろ、歴史に忠実に事実を描いていたと言えます。
十人十色と言いますが、結局、十人いれば、それぞれの立場でそれぞれの思惑があるわけなので、十通りの考え方があるのは、昔も今も変わらないからです。
理論物理学者オッペンハイマーが極めて優れた物理学者であったことは紛れもない事実です。
ただ原爆開発成功の頂点に立った瞬間から皮肉にも彼の心と人生が奈落に落ちていくということが、人類の悲劇の予兆であることを、この映画は見る人に突きつけます。
だから、見終わった後に悲しい気持ちになる映画なのです。
折しも、ロシアとウクライナの戦争が続いている厳しい現実がある今、地続きの地に住んでいる者として、対岸の火事ではないことを改めて見せつけられたような気がしました。
楽しむ部分があるとすれば、俳優陣の演技がみんな素晴らしかったことです
最近の映画にあまり詳しくない私は、マット・デーモンが出てきたときに、ようやく知っている俳優が出てきたと嬉々としてしまいました
なんとも悲しくなる映画ですが、もう一度見たいと思う映画でもありました。
おすすめです。